2013.1  別 冊 城 北 会 誌


終戦直後の風雪に耐えた名門校

                             昭和27 森 拓三


 これは、集団疎開から帰京した小学校6年生が、中学受験を経て四中、戸山高校の6年間、さらに大学受験を目指した3年間、合わせて9年半におよぶ青春時代を振り返ってまとめた自分史である。この間に出会った学友・知人たち、数多の名物教師や温情溢れる担任の先生との交流の中で経験した喜怒哀楽を、筆者と家族間の情愛や確執などとともに、素直な表現で淡々と綴った作品である。
  全編で120ページを超えているので、別冊城北会誌編集部が時系列で8つの章に区分けし、各章のすべての見出しタイトルを並べた。読者は、章の初めから順に読むことができるとともに、特定の見出しをクリックしてそのタイトルの文を読むこともできる。
  筆者が末尾の執筆後記で述べているように、自らの記憶をベースに書き進めており、文献による裏づけはしていない。記憶違いによる部分もあるかも知れないことをあらかじめご諒承いただきたい。

第一章  集団疎開から帰京〜中学受験

     (昭和20年10月〜21年3月)

1首都荒廃の明暗   2待っていた中学受験   3都心の書店で受験本漁り
4行き先は本屋街・神保町   5神保町とご縁になった戦中帰国(1)
6神保町とご縁になった戦中帰国(2)  7欠食児童の受験勉強
8受験に影響した‘首都転入禁止令’   9もうひとりの受験生
10我が家の台所事情 11親父の‘ふところ’   12親父の生い立ち・生業
13親父の立場と不安(1)  14親父の立場と不安(2) 15受験家庭の幸福と苦悩
16四中との出会い      17‘待った’が掛かった四中受験
18四中志望にゴーサイン  19切羽詰った受験勉強  20各中学の試験始まる
21いよいよ四中受験      22受験日は父兄同伴   23四中に奇跡?の合格

第二章  学制改革に揺れた四中一年生

     (昭和21年4月〜22年3月)

24四中新一年生           25間借り新校舎で授業スタート
26敗戦色表す四中生の身なり   27厳しかった四中生の伝統教育
28朝礼と‘教務からのオタッシ’   29青天の霹靂(へきれき)四中が廃校になる?
30程度の高い一年生の学習内容 31英才集団のなかの奇才、秀才、鈍才
32通学地獄が成績低下に追い打ち 33顕わになってきた世の中の変化
34“ガンマ”は逆にすれば“マンガ”   35束の間の“楽園”
36忍び寄る“学制改革”に広がる動揺 37レベルの高かった課外活動
38戦争直後でもこんなことも    39わが中学のラストステージ

第三章  新学制スタート・下級生がいない四中2年生

       (昭和22年4月〜23年3月)

40万年最下級時代の到来    41“鶴の一声”で唐突な学制改革
42“民主化”で圧勝の新制度   43孤高を守った旧四中の教育
44ゆとりと悪化した家庭の状況 45迎えた先生の大量交代時代
46嚆矢は東大からの2先生   47学術書と移動のジャクさん
48気取らない博学の勉強家   49私語を黙らせた小咄(こばなし)
50元気をもらったあの一言    51先生の交代劇スタート
52激変の先生の顔ぶれ      53固まった四中後の教諭陣の骨格
54現れたマ司令部の威令?   55加賀町になかなかもどれない
56愛着?加賀町とは・・・     57古巣復帰叶わず校庭探しは再び迷走

第四章  ナンバースクール・新校歌・あだ名・変り種

       (昭和22年〜23年)

58現実味帯びる末端現場の民主化? 59四中はナンバースックールの最右翼
60なぜ一中・四中なのか         61ナンバースクール解消
62“古い上着よさようなら”新校歌誕生秘話  63味のある新校歌
64新校歌が示唆した新生四中、四高のシンボル
65グルーミー(陰湿)なクラスムード  66僕のあだ名は「すいみんニャロー」
67クラスの変り種に“戦犯”呼ばわり  68大シェンを泣かせた“しおのせんべい”
69“ゾウ”さんが‘おしおき’の連発   70混声四部合唱でコンクール出場
71クラスに通学系グループ誕生    72先生の「出身校はどこ?発言にショック
73Morrisは‘モリ’にあらず      74新宿駅前で“初回赤い羽根”の募金活動
752学期中間テストの珍事(ヤマカンの巻)
762学期中間テストの珍事(フロックの最高点) 77先生の思いを踏みにじる
78相変わらず悪い東京の食糧事情      79息をつないだ米軍物資の配給
80ラジオが叫ぶ“農家の皆さんこんばんは”  81学業よりも食い扶持探しに翻弄
82寿産院(新宿区)の新生児大量餓死事件 83報道等に見る事件の詳報
84小松先生(体育)のお小言に涙        85“斜横断”で下校の8人に出頭切符
86GHQの差し金?で作られた交通新法    87都立四高併設中学校に秋風吹く
88移転先 戸山が原内定し廃校なくなる

第五章  戸山高校併設中学校での3年生

      (昭和23年4月〜24年3月)

89都立四高から戸山高校の併設中学校へ 90上背伸びてクラス2番のノッポに
91クラスの雑記帳にウザイ?な映画コメント 92憲法学者・宮澤俊義先輩の怒り
93読まされた「自由と規律」の影響も  94捜査1課長の話のオチに館内爆笑
95都電大久保車庫で和泉君あわや感電死 96本当に3000ボルトの電圧だったの?
97貴重な体験・解剖室の見学    98校舎の屋上で一生に一度の殴り合い
99F組にはレベルの高い集団も   100”三種の神器”そろい伝統校新生スタートへ
101昭和24年の幕開け        102多事多難も多彩な年
103我が家の家計は下り坂      104卒業前の気分の変調、模型に思い入れ
105「青い山脈」ブームの前夜    106古い上着(併設中学校)?とついにお別れ

第六章 戸山高校1年生

      (昭和24年4月〜25年3月)

107下級生のいない高校生、晴れて?進学 108高校生活がスタート
109A組佐々木先生が担任に          110長髪族が急増
111男女共学を初体験              112震えたオージーMPの突然の訪問
113新校舎造りへ馬小屋のがれきの整理  114新校舎は馬小屋改造の粗製品
115やはり旧制一高の威力           116論客“サトケン”と音楽教師との対決
117論争はどちらかと言うと先生側に軍配   118落ち込みが続く台所事情
119追い打ちかけた転居の連続         120初めて後輩を迎えた思い
121家計をさらに圧迫した兄の下宿

第七章 新校舎全焼し分散授業へ、そして高校卒業

      (昭和25年4月〜27年3月)

122信じられない!新校舎が火災で消滅  1233か所での分散授業と廃校論の再燃
124誇るべき?高校での第2外国語への挑戦 125僕にとっての幻の修学旅行
126着々成果が実る他流試合      127せめぎ合う体育系と文化系クラブ
128誘われて外事研究班に        129英語の達人の集まり
130優秀な新人班員迎えながらあの火事が・・ 131あっさり引き抜かれた弱さ
132多くの逸材を送り込んだ研究班    133貴重なカンマの教え
134心の先生でもあった柴田先生     135案外早かった校舎の再建
136校舎のシンボルはラジアン池      137ムトウさんの助言と即席効果
138あんなエネルギーがグズにもあった  139総仕上げの最終学年に到達
140順調な数学も慢心の芽生え      141入試前に家計はパニック状態
142僕の名を使い親父の金策の旅     143荒(すさ)んでいく高3の学園生活
144奇跡!模試の好成績に堕落の一途  145模試で現われた異才
146慢心が招いた試験の結果        147裏をかかれた進学適性検査
148僕一人地獄?の大学入試初受験

第八章 三年に及んだ浪人生活

      (昭和27年3月〜30年3月)

149続々届く友人たちの朗報         150アルバイト先で得た教訓
151補習科初回の模試の順位も16番    152遂に一家は・・・
153ご存じ?学生寮は宮城(千代田の森)のうち 154同室者の全面理解で"潜り“に
155多彩な同室者の方々           156仮住まい千代田区一番町界隈
157学生会館での見聞や思い出       158素晴しい味!構内特設夜店のラーメン
159新しい学生活動?セツルメントの動き 160同級生はサークル活動
161“音楽でメシが食えるか”の一喝で芸大断念 162深い友情と温かい思いやり
163都落ちの二浪生活は神宮のお膝元で 164四日市入りは三浪決定後に
165四日市中心部に転居            166浪人生活にやっと決着つく
167執筆後記