新装戸山高校 第5回  ビオトープ

 前回の”新装戸山高校”で正門から駐輪場までのアプローチ・ガーデンをご紹介しました。この中で、正門から校舎に通じる通路の左側にビオトープが5月に完成することをお伝えしましたが、このほどこの工事が完了しましたので、そのあらましをお知らせいたします。

 このたびの校舎改築にあたり、新しいキャンパスを環境と共生できるものにしたいとの希望を持っている佐藤徹校長先生が、建築城北会(建築関連の仕事に携わる戸山高校卒業生の集まり)にプランの具体化を依頼されました。これに基づき同会の尾崎英二氏(尾崎建築事務所代表取締役・昭31)と多胡壽恭氏(多胡設計事務所代表取締役・昭35)が、校長先生の思いを実現するために何ができるかを探り、それを基礎にして多胡氏が大成建設叶ン計本部の尾畑徳彦氏(平3)の設計協力を得て、ビオトープのプランをまとめて城北会に提案、これを同会が母校校舎改築を祝う記念事業として採用したものです。
 環境共生キャンパス計画<水辺の散歩道>と呼ばれるもので、多胡氏は「既存の樹木をあるがままに取り入れ、その木立の中を水辺が連続しているようなプランを考えた」とのことです。造成は第一緑興鰍ェ行いました。

 ビオトープは全長約50m、最大幅約3.0m。種々の樹木や草花類が植えられた中央を、水盤という小さな池が連続して5つ設けられ、校舎側から正門に向けて、水盤1、2、3、4、5と呼ばれています。
 最初の水盤1はシグザグ形で水路全長の半分近くを占めています。ここが満水になると、地形の傾斜を利用して造られた水盤2,3,4,5に順に水が流れ落ちる仕掛けになっています。各水盤の末端にはウォーター・ラインという名の石が配置されており、水位がこれを上回れば自動的に次の水盤に水が流れ込みます。最後の水盤5のウォーター・ラインは排水口の格子ふたで、ここから溢れる水は敷地の外へ排出されます。
 雨による増水は上の仕掛けで自動排水されますが、好天続きで水が蒸発し水盤の水位が下がった時は、目視でチェックし、バルブを開けて水道水を補給することが必要です。水質・水温をベストに保つには、水位が保たれている場合でも、随時ポンプを動かして地下配管を通じて、水盤5から水盤1へ水を循環させます。このとき必要に応じて上水道から新しい水も加えます。

 水盤には、小鮒20匹、石亀2匹、めだか100匹のほか、どじょう、タニシが放たれています。これから暑い季節に入りますが、水盤周辺に植えられた草花や樹木が落とす陰が、生き物たちを助けることになるでしょう。そしてビオトープを訪れる人たちに、一年を通じ四季おりおりの景色を楽しませることでしょう。
 ここに植えられた樹木は、カシワ、イチョウ、クヌギ、ケヤキ、ムクノキ、アオギリ、クス、クワ、カキなどのほか、校舎改築前にあったサクラ、ミズキ、エノキも移植されています。このほか、キリシマツツジ260株、オオムラツツジ260株、アジサイ60株や、数々の草花を見ることができます。
 このビオトープは、風力発電装置とともに、城北会から戸山高校に新校舎落成記念として贈られるもので、6月25日、新宿区新宿文化センター大ホールで行われた校舎落成記念・創立百十八周年記念式典で、その目録が城北会大山綱明会長から佐藤徹校長先生に手渡され、佐藤先生から大山会長には感謝状が贈られました。
 風力発電装置は、深井先生胸像の後のスペースに設置される予定で、発電電力はビオトープの水の循環に使われます。
 なお、改装前、城北会記念会館脇にあった校歌碑は、水盤3の前に移設されています。


ラジアン池からみた遠景(工事完了目前)

上流からみた全景

水盤1のジグザグ

水盤1から水盤3への変化

ビオトープの左右にある大きな樹木

一つ一つ丹念に選ばれた水盤近くの草花

水盤のウォーターラインを示す絵

校歌碑(創立100周年記念碑)

水盤の造りの様子1

水盤の造りの様子2

気持ちよさそうなとんぼ(7月2日)


連絡・お問い合わせは城北会事務局へどうぞ。e-mail:johoku@toyamaob.org