平成16年度第3回土曜講座
「磁気の不思議」
日時 平成16年10月9日(土) 11:00-13:00
会場 都立戸山高校 講堂
講師 三浦 登氏
(独立行政法人・科学技術振興機構・研究開発戦略センター・シニアフェロー・東京大学名誉教授)
<講演要旨>
離れている所でも強い力を及ぼし合う磁石や磁気の力は不思議な魅力に溢れている。鉄やニッケルなどの強磁性体は、はじめは磁気をもっていなくても磁界を加えると磁化し磁石としての性質を示す。しかし温度を上げていくと、その磁化は消失してしまう。銅やアルミニウムなどの金属は磁化することはないが、磁界が動くと強い力を受け、その原理はモーターや磁気浮上などに応用されている。物質に加える磁界をどんどん強くしていくと、ある磁界で磁化の大きさが突然何倍にも増加したり、金属が絶縁体に変わったり、超伝導体が常伝導体に戻ったり、不透明な物質が透明になったりというようにふつうにはない不思議な物質の姿が見られる。このような物質の磁気的な性質は、原子や電子が主役であるミクロな世界の法則によって説明される。本講演では、磁気に関連するいろいろな現象や物質の磁気的な性質について、簡単な実験や映像を通してやさしく解説する。また世界一の超強磁界の発生方法についても紹介する。
<講師略歴>
昭和16年生まれ。昭和35年都立戸山高校卒業。
昭和39年東京大学工学部物理工学科卒業。
昭和43年東京大学大学院博士課程中退、東京大学助手、助教授を経て、
昭和62年東京大学物性研究所教授。
平成15年東京大学定年退官・東京大学名誉教授。
この間、昭和46年4月―昭和47年8月 英国オクスフォード大学クラレンドン研究所に研究員として滞在。
現在、独立行政法人・科学技術振興機構・研究開発戦略センター・シニアフェロー。
<著書>
「磁気と物質」(産業図書)、「続々 物性科学のすすめ」{培風館、編著}、磁性物理学とその応用」(裳華房、編著)、「強磁場の発生と応用」(共立出版、近刊)、極限実験技術(朝倉書店)など多数。高校物理教科書(東京書籍)監修者
Berlin Humboldt大学・名誉博士(1996年)。島津賞(2004年)文部科学大臣賞 (2004年)受賞
<問合先>
城北会事務局