第5回都市・建築城北会を
    東大生研都市基盤安全工学国際研究センターで開催

都市・建築城北会会長 椎名國雄(昭28)            

 第5回都市・建築城北会は東京大学生産技術研究所都市基盤安全工学国際研究センターに於いて、2006年10月14日(土) 午後2時45分より魚本健人都市基盤安全工学国際研究センター長・教授(戸山高昭41卒)による講演会と、引き続き都市基盤安全工学国際研究センター実験室の見学を行った。
 都市・建築城北会は、昨年まで建築城北会と称していたが第4回の折、名称を職域の実情に合わせ都市・建築城北会とした。
 東京大学生産技術研究所は5年前に六本木から目黒区駒場に移転した。
 建物はその折に建設されたもので、設計は建築家として著名な当時の原広司東大教授である。
生産技術研究所には研究センターが8つあり、都市基盤安全工学国際研究センターはその1つである。
 魚本教授は土木学会コンクリート委員会委員長を務めるほか、平成16年に発足したアジアコンクリート連盟の会長でもある。
 ご専門は都市基盤安全工学であり、ご研究のテーマは既存構造物の診断手法に関する研究、コンクリート構造物への非破壊検査の適用、コンクリート構造物の新しい補修工法の開発、リサイクル材料などである。
 講演は都市基盤安全工学国際研究センター会議室で行われ、「鉄筋コンクリート造の耐久性」について32名の会員が熱心に耳を傾けた。
 はじめにアジアコンクリート連盟に関連し、アジアの発展途上国で日本の建設技術が、津波や地震の災害でも分かるように如何にアジア各地で求められているのかを話された。また、下水道などに用いられるコンクリートの水路が腐食する(汚水から発生する硫化水素が水と反応して硫酸となり、コンクリートを溶解する)被害があり、腐食に対する保護・補修の方法が述べられた。
 アルカリ骨材反応などのひび割れに起因した漏水の補修では、ポリマーの注入が必ずしもひび割れの深部まで到達しなくても、注入がひび割れ深さの4割程度に達していれば実用上差し支えない止水効果が期待できることなどを、パワーポイントを用い分かり易く説明された。
 質疑の際に、イタリア都市紀行作家北村紀久子さん(昭47卒)より、日本の都市は道路整備や電柱の存在などで近年イタリアに比べて遅れを取っているのではないかとの指摘があり、都市景観の重要性についての認識を新たにした。
 懇親会は駒場エミナースに場所を移し、午後5時から多胡壽恭(昭35卒)司会で行われた。
 学校側の来賓として出席された揚村洋一郎校長先生からは、母校のビオトープの造園設計・監理を担当した多胡会員、尾崎本会事務局長(昭31卒)および本会に対して謝意と期待が述べられた。また片桐重延元教頭先生は講演と併せて参加して下さり、母校との絆の強さを示された。
 城北会からの来賓である多賀宗紀副会長(昭34卒)は、私は土木工学科の出身で電源開発鰍ノ就職していたから今日は都市・建築城北会の会員として出席したつもりであるとの挨拶があった。
 池田順子さん(昭34卒)は東工大建築学科3年生のご子女と一緒に出席され、娘が卒業研究にどの分野を選んだら良いか、迷っているので相談に乗って頂きたい、と挨拶された。これには多くの会員が、親代わりとなったような気分で親身になって対応してくれていた。都市・建築城北会の意義がこんなところにもあったのだと改めて感じた。
 今回の講演会に先立ち希望者が駒場公園内にある前田侯爵邸洋館および和館を見学した。
 洋館は鉄筋コンクリート造(地上3階、地下1階建)で東京帝大塚本靖教授と高橋禎太郎技師の設計により1929(昭和4)年に建築されたものである。洋館はこじんまりとした洋風の大名屋敷を思わせるもので風格があり、当時このような洋館のみでの生活が日本にあったのかと驚かされた。(土日のみ開館、入場無料)
 会は午後7時に来年の再会を期してお開きとなった。
 都市・建築城北会は毎年開かれますが、出席希望の方は、下記事務局までご連絡下さいますようお願い致します。案内状を発送致します。

株崎建築事務所 尾崎英二  03-3379-5181 FAX 03-3379-6330


連絡・お問い合わせは城北会事務局へどうぞ。e-mail:johoku@toyamaob.org