先生列伝(72) 坂入先生 戸山高校新聞 第200号 1983年3月3日
 「戸山と共に四十年  只今カメラ集めに熱中」


1980年卒業アルバム

1980年卒業アルバム

 先生列伝、記念すべき二〇〇号では数学科坂入先生の登場である。過去にも「飯より好きな数学」という見出しで列伝に出場された経験をお持ちの先生、実に三十年ぶり二度目の登場なのだ。二〇〇号についての意見を伺ってみると、「二〇〇号の先生列伝に載ったのは幸せです」と一言、ニッコリ笑っておっしゃられた。

 明治四十三年生まれの先生。学生の頃はエンジニアになることを夢見ていたとか。本校には第二次大戦中の昭和十九年に来られた。(終戦当時には足にマメをつくって入院されていたそうだ)今月の十日に七十三歳になられたのであるが、戸山でのキャリアは四十年という大ベテラン。文句なく戸山一である。

 趣味をお聞きすると「半分気違いだね」とおっしゃるほどの写真狂いなのだそうだ。写すことだけでなく昔の外国製のカメラのコレクションは相当なものらしく、「一番古いものは六十年前のもので、全部で五十七台持っている」と、うれしそうにお話しになった。さしずめ「飯より好きなカメラ」というところかな?

 戸山と共に四十年過ごされてきた先生に最近の戸山の雰囲気についてお尋ねすると、「各クラスとも昔と比べて明るくなごやかになったね」とのお返事が返ってきた。生徒に「学校は楽しいか」と聞くと最近では「ハイ、楽しいです」と答えるという。その主たる理由は「友人と遊べるから」でいささか勉学への意気込み欠乏気味。以前の戸山生なら決まってこう言ったそうだ。「勉強がキツくて苦しい」勉強がきついから暇がない、だから友人もいない(く、くらい)。ちょっと考えられないが、こんな点が今の戸山と決定的に違うところのようだ。そこで戸山生に一言。「もっと各教科とも真剣に取り組んで欲しい。今の生徒には楽をしてその場を切り抜けようとする姿勢があるけれど、勉強にはムダが必要。苦労に苦労を重ねて、知ることの喜びを味わって欲しい」先生も旧制中学の頃には「算術」で頭を痛めたご経験をお持ちだとか。

 豊富な人生経験を持っていらっしゃるだけに、取材中には楽しいお話をいっぱい伺えた。みなさんも先生に戸山の歴史等を聞かせていただくのもおもしろいのでは?                       (ヒヒ)

 坂入 一郎 先生 数学 戸山高校在職 1944〜85



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