先生列伝(81) 百瀬先生 戸山高校新聞 第214号 1985年12月7日
   「教師は男一生の職業
       青春時代の人間関係が魅力的」


1985年卒業アルバム

新聞214号

 今回の先生列伝は、オオカナダモの研究をされている生物の百瀬先生にスポットをあててみました。本校で教鞭を執られて三年目と比較的新しい先生ですが、教師歴は二十年というベテランです。

 昭和十七年に長野県でお生まれになった先生は、小さい頃から自然に親しんできたそうで、それが生物に興味を持ったきっかけだそうです。少年時代について「親からはやさしい少年だったと聞かされている。もっとも今は違うけど」とおっしゃられていました。

 高校は長野県立飯山北高校でしたが、両親の転勤で先生は下宿して、学校に通ったそうです。ところで先生が教師になろうと決心したのが、この下宿の主人の「教師は男一生の仕事に値する」という言葉だそうで、教師についてその当時は「青春時代の生徒が互いにからみあい、つながれるのが理想的で、そういった生活の中から人間的なつながりが出来ていくことに魅力がある」と考えていたそうです。

 その後、一年間の浪人生活を経て、東京教育大学(現筑波大)の生物科に進まれました。そこの研究室で初めてオオカナダモに出会い、今日までの研究に至っているそうです。研究の面白さについて伺ってみると「生きているものは全て美しい。生物学に限らず学問全体にもロマンがある」とのお言葉。そこまで研究熱心な先生を何が支えているのかとの質問に「ハングリー精神と、学問や青春にたいするあこがれが研究を支えている。研究は、自然科学が無限なのと同じに自己が続く限り無限に続けていくつもり」と熱心に語られていました。

 さて、そこまで研究熱心な先生に対して奥様はどのように思われているのか伺ってみたところ「肯定的だがあきらめもあるのだろう。浮気している時間もないのだから認めているのだろうが」と苦笑されていましたが最後に「学会などに出た時には、心ではよかったと思ってくれているだろう」としみじみ語られていました。

 家族サービスについては「近所の小平霊園におにぎりを持って散歩に行ったり、飯能の名栗川や、秋川などの川に良く行きます。でも、いっしょに行くのはいつも子供達だけで家内はおいて行く」とのこと。

 最後に戸山高校についてお尋ねしたところ「良く勉強すると思うが、幅広い勉強が必要だろう。また、変に時代の流行を追うのではなく、自分の個性に合わせて物を見つめて欲しい。生物の勉強だって教科書だけでなく、自己の肉体内にも生命現象があるのだから、それに気付けば生物に興味が持てるだろう」とおっしゃられていました。
                 (Xマスにミュージックソング)

百瀬忠征先生 生物 戸山高校在職 1983〜94



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