先生列伝(95)横尾先生 戸山高校新聞 第241号 1991年2月27日
 「夢中になって生きよう」 〜横尾三雄先生の巻〜


1988年卒業アルバム

1987年卒業アルバム

 今回は、情熱的な授業をなさる国語科の横尾三雄先生にお話を伺ってみた。
 先生は東京の深川でお生まれになり、六歳から高校生の時までを栃木県の鹿沼で過ごされた。少年時代には毎日のように蝶を追いかけて採集し、飼育したそうだ。卵から成虫になるまでの変化の様子をすべて写真に写し、中学二年生の時には県の理科展で優勝された。そのようなことから友達には「蝶博士」と呼ばれていたそうだ。
 高校に入学した時も真っ先に生物部に入り蝶を研究なさったという。また、文学に興味を持ち始めたのもこのころだそうだ。
 早稲田大学に入ってからは源氏物語の研究会に所属され、毎週グループで激論をかわしたり、また、奥の細道などの古典の舞台となった場所を研究旅行したりしたそうだ。初恋に破れたのも大学時代。しかし源氏物語のグループの中で「第二の初恋」の相手である今の奥様に出会い、大学を卒業して五年後に結婚された。
 ところで先生は「ほれて早稲田大学に入った」そうだ。今の大学については「特色がなくなったのが残念だね」と語られ、偏差値で行く大学を決めてしまうような現状に批判的であった。
 先生は教師になられてから三十年になる。国語の教師になられたきっかけは「源氏物語の研究を続けるか教師になるか迷ったが、教育実習をして生徒が喜んでくれた時、教師になろうと決意しました」と語られた。次に古典の良さを伺ったところ「古典は現代人の忘れているものを思い出させてくれる。よく鑑賞するには文法的解釈も必要だが、それだけで終わってしまっては悲しい、やはり常に人間を問題にしているところが魅力だね」とのお答えだった。
 さて、先生はいつも個性的な柄のネクタイをしておられる。先生はネクタイを百本以上も持っていらっしゃるそうで「毎朝どれをつけていくかを一分間で決めるのが大変。さらに女房に見せて『ダメ』と言われたらもう一度決め直さなければならない」と、愛妻家の顔もお見せになった。
 また先生のご趣味はクラシック鑑賞。なんとCDを二千枚も持っているそうだ。休日に音楽を聞いたり、奥様とN響のコンサートへ行ったりするのが楽しみとのこと。
 最後に戸山生に対して先生は力を込めて語られた。「主体的に物事を考えることを期待します。先を見すぎて冷えてしまうより、そのときそのときを夢中になって生きて、後になって振り返った時に何かがつくられていれば良いのではないかと思いますね」。                    (わ!)

横尾三雄先生 国語 戸山高校在職 1984〜2000



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