先生列伝(102)宇都宮先生 戸山高校新聞 第 260号 1994年12月2日
 趣味は「人生の灯」 〜宇都宮 博先生の巻〜


1990年卒業アルバム

1985年卒業アルバム

1995年卒業アルバム

 今回は、音楽・映画・演劇の鑑賞、読書、テニス、登山と、実に多彩な御趣味をお持ちの英語科・宇都宮先生の素顔に迫った。
 遊んでばかりだったという子供時代。学校から家まで三キロの帰り道の途中では、山に入っての探検ごっこや木の実取りをして楽しんでいた腕白小僧だったそうだ。中学でも、陸上競技の大会で県の新記録を出す等、様々なスポーツで活躍されていた。その一方で、生徒会長を務められていたこともあり、この頃から色々な方面に興味を持っていた少年だったようだ。
 高校に入学し、「やっと」勉強にも身を入れるようになると、「英語ほど面白いものはない」と思うほど英語に魅せられ、大学では英文学を専攻された。そこでは「Friend International Work Camp」という国際的なボランティア組織の支部で活動され、戦災孤児の施設を訪問したり、「FIWC」の海外の会員と共にキャンプを行ったりと、充実した時間を過ごされた。
 映画・読書等の御趣味はこの頃からのものだ。当時の映画では、「エデンの東」・「理由なき反抗」等、ジェームス・ディーン出演の作品を鮮烈に感じたそうだ。本にも中学・高校の頃から親しみ、日本・外国を問わず多くの作品を手当たり次第に読まれたという。川端康成や堀辰雄を中心に様々な文学者の人生観に触れ、ご自身の人生観にも影響を受けられたようだ。また、先日ノーベル文学賞を受賞した大江健三郎氏の作品も愛読されており、「(日本でノーベル文学賞を受賞するのは)彼しかいない」と以前から生徒に話していたという。インタビュー中も、大江氏の人柄や作品について御自身の思い入れを大いに語って下さった。そして、趣味とは少し異なるが、先生は桜と縁が深い歌人であった西行法師に出会って以来「桜」に凝っているという。全国の名所・名木を巡ったり、桜にまつわる文学作品を読んだりと、植物としての桜と文学を通しての桜の両方に興味をお持ちだそうだ。
 「自分に感動を与えそうなものをいつも求めている」という先生。その多彩な御趣味は、自分の感情に訴えるものに対する貪欲な姿勢の表れなのだろう。趣味は「人生の灯みたいなもの」だという先生の言葉が心にしみた。  (深)

宇都宮博先生 英語 戸山高校在職 1981〜96



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