平成15年(2003年)秋に竣工した新校舎はハード・ソフト両面で都が誇るさまざまな技術が使われ工夫が施されていますが、今回はその中で、
@クールヒート・トレンチ(地中熱利用)
A雨水利用(トイレ洗浄水に使用)
についてご紹介いたします。
新校舎の改築計画を作るにあたり、都財務局建築保全部は、東京都EMS(環境マネジメントシステム)推進のため、環境保全・エネルギーコストの削減と生徒の省エネルギー意識向上などを主眼とする、環境にやさしい施設づくりを目指しました。そして具体化されたのが、上に述べた2点です。
1.クールヒート・トレンチ
外気に比べて夏涼しく、冬暖かい地中熱を利用して行う空調のことです。
外気を校舎屋上にある2ヶ所の取入れ口から取り込み、校舎床下のトレンチという細長い濠(ほり)の部分を通し、地中熱との温度差を利用し、夏は熱い空気を冷やし、冬は冷たい空気を暖めて、全24教室(960人・延床面積14,591平方メートル)に供給するシステムです。地熱の温度は、表面付近では夏と冬では異なり、夏は気温より低く冬は気温より高いのですが、比較的安定しているため、このように活用できるのです。気温より冬は最大9.0℃高く、夏は最大6.7℃低い空気が供給されます。
トレンチのスペースは、ヨコ6.85mx タテ1.8m x 東西方向に延長81mで2系統あり、合わせて有効容積1,800立方メートル分の中で空気を処理することができます。教室に供給できる空気は、毎時間、2系統で約26,000立方メートルになります。クールヒート・トレンチの効果は、推定温度効果4〜5℃、冷暖房費年間約20%、70万円の節減、CO2排出削減量は年間約5.8トンと見積もられています。
クールヒート・トレンチが東京都の施設に使われるのは、母校の新校舎が初めてです。
2.雨水利用
雨水を貯めて、校舎内トイレの洗浄水として利用しようというものです。集水エリアは、校舎屋上と体育館の屋根で、合わせて3,620平方メートル。ここに降った雨水は、校舎地下に送られ、沈砂槽を経て教室床下の雨水貯留槽に貯水されます。
その後、ろ過装置を通って雑用水槽に送られ、ここからポンプで各階のトイレに供給され洗浄水として使われます。雨水貯水槽の容量は280立方メートル。この容量を上回る降水があった場合は自動排水され、降水不足の場合は上水道から補充されます。
トイレ洗浄の所要水量は、8,300トン/年。その約50%を雨水で代用すると、年間約150万円の水道料金が節減できるほか、上水道水供給減により、CO2が年間約2.3トンの削減が可能になります。