東京都高等学校文化祭演劇部門中央発表会(第59回東京都高等学校演劇コンクール中央発表会)は、11月12〜13日、東京練馬区の日本大学芸術学部江古田校舎中講堂で行われ、戸山高校演劇部は、最終審査で第4位にあたる全国高校演劇協議会長賞を受賞しました。今年は、参加145校の中から地区予選を勝ち抜き、昨年に引き続き中央発表会に駒を進めたものです。記録によると、戸山が中央発表会に出場したのは、1952、1959、1963、2004年に次ぐ5度目で、’52年の3位入賞以来53年ぶりの上位入賞を果たしました。
出場13校のうち、戸山演劇部は、12日(土)の7公演の3番目に、芥川龍之介「地獄変」・つかこうへい「売春捜査官」の2作品をもとに演劇部が創作した「美しく燃える街」を上演しました。
そして、13日(日)午後7時20分から行われた閉会式で、4位入賞が発表されると喚声が起こり拍手の中、出演した石井維さん、寺田周平さん、川村史織さんがステージに上がり、表彰状、トロフィーなどを受け取りました。このほか、母校は、特別賞(豊博秋舞台美術賞)も合わせて受賞しました。
他の入賞校5校と演目は次の通りです:
審査員特別賞・東京都教育委員会賞 都立八王子東高「学割だからいいのよ」
水木京太賞 都立東高「三番線ホームアローン」
落合矯一賞 桐朋女子高「不思議の国のアリスの
帽子屋さんのお茶の会」
東京都高等学校演劇研究会長賞 筑波大学附属駒場高「ドグラ・マグラ」
東京都高等学校演劇研究会賞 成蹊高「マクベス入門」
八王子東高と都立東高は、来年1月の関東大会に出場します。また桐朋女子高は、来年夏、国立劇場で公演することになりました。
戸山以外の特別賞受賞校は次の通りです:
榊原記念創作脚本賞 都立八王子東高
米本一夫記念賞(既成作品上演校対象) 都立東高
アマチュア創作脚本賞 筑波大学附属駒場高
なお、生徒審査員7校7名が審査した中央委員会賞は、都立東高に贈られました。
12日の7公演終了後、次の7人の審査委員から講評がありました:
専門審査委員 舞台美術家 斎藤浩樹氏
演出家 高橋正徳氏
俳優 那須佐代子氏
演劇評論家 林あまり氏
学校審査委員 千葉県立八千代高校 高橋先生
大妻高校 横内先生
工学院大学附属高校 斎藤先生
専門審査委員(斎藤氏を除く)と学校審査委員から各1人が、2〜3校につき講評し、
最後に舞台美術家の斎藤氏が全7校について講評しました。
母校の公演に対する講評は次の通りでした:
演出家 高橋正徳氏(文学座)
・ 二つの作品を融合させた作品だったが、すごくおもしろかった。
・ 劇中のダンスは決して一番とは言えないが、愛がありよかった。
・ 演じている役者のことば(せりふ)がリアルに感じられた。
・ タイトルも文学的で渋く、ギャグもおもしろかった。
・ 絵を描きながら業火に焼かれていくシーンは、愛に走らず、ほかに何かを見せられなかったのかなと思った。
横内先生
・ 高校演劇を観るときの私のポイントは、@技術、A(足りない技術を補う)工夫やアイディア、Bテーマ性の三つ。
・ 二つの作品を現代的に換骨奪胎させ、この不条理を書き直したのには感心した。
・ 近代文学の「地獄変」は芸術家の執念がテーマだが、これを充分書き直せたのか?
古典の力をあまく見てはいけないと思った。
林あまり氏
・ (7公演中の2、3の出演者に触れ)戸山高校の石井維さんの演技はすばらしい、すごいと思った。
舞台美術家 斎藤浩樹氏
・ 演出プランと美術プランは切り離せない大切なもの。その点ではいい線行っていたと感じた。数枚のキャンバスは白が主体だったが、もうひと工夫あってもよかったのではないか。少しさみしい感じがした。
・ キャンバスの白布が透けているのは、後の人物を見せるためなのだから、ライティングを工夫したらよかった。例えばロウソクやクリップライトを使うなどして。
・ 「スーパールーズ」の看板はよかったが、「せくはら学園」のはよくなかった。
ルーズソックスの白に対しバックの色を考えて欲しかった。
・ いろんなアイデイアでやろうとする心意気はよかった。終盤の映像は印象的に
見せられたらもっとよかった。