戸山高校土曜講座
 
松尾邦弘検事総長が母校の都立戸山高校で裁判員制度などについて講演

 松尾邦弘・検事総長(63)が11月19日、母校である新宿区の都立戸山高校で講演し、2009年5月までに導入される裁判員制度について、「『人を裁く』といっても、哲学的に難しく考えるのではなく、ふだん人生で何かを決断する時と同じように、常識的な判断で事実を認定してもらえばいい」と理解を求めた。
 松尾総長は、トヨタ自動車東京本社を訪問するなど、自ら検察トップとして、裁判員制度に向けたPRに精力的に取り組んでいる。戸山高校では学校週5日制が始まった02年度から、各界で活躍するOBらを招いた土曜企画講座として連続講演会を実施しており、今年度は2回目。松尾総長は同校を1961年(昭和36年・戸山高校第13回)に卒業。同期の懐かしい面々の卒業生や在校生、生徒の父母ら200人近くが参加した。
 松尾総長は冒頭、「高校時代には、土木技師か弁護士になりたいという理系と文系に分裂した進路を希望していた」と明かし、「だんだん検事も面白そうだと考えるようになって検事を選んだが、すべての原点は高校時代。人生の基礎を築く大事な3年間をのびやかに送ってもらいたい」と後輩にエールを送った。

 松尾総長は、日本の治安も悪化する中、地域住民のパトロールなどで軽微な犯罪が減少したことをあげ、刑事事件への国民参加の必要性を訴えた。裁判員制度について、今春の世論調査で、参加に否定的な回答を寄せた人が7割に上ったことに触れ、「2009年には逆転して、7割が賛成となるよう、是非理解頂きたい。『ひとごとでない司法』と頭の中にとめておいて」と呼びかけた。
 会場からの“鋭い”質問も続出。「控訴、上告した場合、裁判員はどうなるの」と同校2年の松尾紗代子さん(17)が尋ねると、松尾総長は「裁判員制度は1審だけだが、実際には国民参加で出した1審の重みは大きくなるので、よほどでないと、高裁で判断がひっくり返ることはないと思う」と丁寧に答えていた。真っ先に質問した同2年、早津夏己さん(17)は講演後、「裁判員制度についての理解が深まった。この制度の実施に関する細かな取り決めは話し合いの途中だと聞いて驚いたが、是非参加して、自分なりに判断したい」と話した。

【個人的感想】松尾さんとは1997年2月から約2年半、司法記者クラブというところに所属して法務・検察の取材をしていた時の取材対象者の一人でした。一般にややなじみの薄い「検察」や、裁判員制度について、治安状況などの数字を具体的にあげながらわかりやすく説明されていたなあ、と思います。また、さすが、というべきか、生徒からの質問は、本質的なものも多く、これを機会に、ぜひ、実際の裁判を傍聴しにいくなど、司法に何らかの形で、参加していただければ、と思いました。全くもって、ひとごとではない、のです。「行方不明」会員になっていた私ですが、新しい校舎なども拝見し、改めて登録させて頂きましたので、私でわかること、協力できることであれば、できる限りのことはさせて頂きますので、在校生の方々をはじめ、気軽に連絡くだされば、幸いです。

読売新聞東京本社社会部記者 南原務(昭61)   


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