林望氏が「謹訳源氏物語」第一巻を祥伝社から出版したのは今年3月。第二巻を4月に、第三巻を6月に矢継ぎばやに刊行しました。第四巻は10月に予定されており、平成24年(2012)4月には全十巻が完訳されることになっています。
世界最古の長編小説をわずか2年で現代語に移し替える作業に正に取り組んでいる著者に、毎日新聞記者がインタビューした記事が7月13日付け夕刊の「読書日和」欄に掲載されました。
その記事の中から、著者の発言をいくつかご紹介します。
(1) この時期に膨大な作業に取り組んだのは、
「人生経験を積んだ今が、この物語に挑むべき天の時だったのでしょう」。
(2) 現代語訳に取り組む姿勢については、
「『訳す』というより『消化して語り直す』作業になります」。
(3) 原文には一句しか引用されていない歌も全三十一文字を再現した上で現代語訳をつけた意図は
「和歌には森羅万象が凝縮されている。いわばカルピスの原液。掛詞(かけことば)などの技巧を使ってくどいほどの説明で薄めないと、現代人には飲み込めません」。
祥伝社のホームページでは、「謹訳源氏物語」は、これまでの現代語訳にない次の4つの特徴があると紹介しています:
(1) 厳密な古典解釈。根拠のない恣意的な解釈や省略は一切ない。
(2) 欄外や巻末の注釈を設けない。
(3) 品のある日本語ですらすら読める。
(4) 装丁も著者が担当し、平安貴族の写本をモチーフにした「コデックス装」を採用し、カバー外すと背表紙がなく、どのページも見開きできるようになっている。
「謹訳源氏物語」の特徴や装丁について詳しく知りたい方は、祥伝社のホームページをご覧下さい: URL://www.shodensha.co.jp/genji
また、著者林望氏の活動に関心がある方は、同氏のホームページがあります:
URL://www.rymbow.com