今回の先生列伝は英語科職員室のロマンス・グレー、染谷先生にお話を伺ってみました。
昭和十五年に横須賀市でお生まれになった先生は、四、五歳の頃相模原市に疎開され、戦争が終わった後もそこにずっと住まれていたそうです。少年時代の先生は「非常に平々凡々とした子ども」で「みんなの後にくっていているような感じで、将来の夢も別になかった。ようするに自覚的に生きていなかったんだ」と話されました。
高校生の頃は、今で言う帰宅部で特に熱中していたものもなかったけれど、映画は比較的よく観ていて、特に「灰とダイヤモンド」が印象に残っているそうです。
さて、そんな先生の今に趣味はといいますと「ジョギングとテニスと一輪車」というヘルシー感覚あふれるものばかり。なかでもユニークな一輪車については体力づくりが目的かと思いきや、これがなんと、「(前の学校で)授業をしに職員室から教室に行く時、(遠いので)一輪車に乗っていった」という御返事。校内を疾走する一輪車は一部のひんしゅくをかったそうですが、休み時間に乗りにきた生徒達はみんなすぐにうまく乗れるようになったとか。「すぐ上達するのが一輪車の魅力。自転車に乗れる人なら誰でも乗れるよ。今は全然乗ってないけど、戸山高校は廊下が長いから、一輪車があると便利だろうなあ」とおっしゃっていたので、そのうち戸山の廊下を一輪車で颯爽と滑る染谷先生の勇姿が見られるかも知れません。
最後に、本職(?)の英語については、「英語に限らず語学の魅力は、日本人と外国人の発想の違いがよく表れている点にある。学習方法はとにかく時間をかけることだね。語彙を増やすためにはまめに辞書をひき、文法的な事項はよく考える。自分の好きな分野の本を英語で読むのもいい。特に勧めるのは聖書やギリシア・ローマ神話、シェークスピアの戯曲など。これらは英語的な発想の基礎だから」と熱心に話されていました。
「勉強というものは果てしないね。今でもしょっちゅう辞書をひいているよ。でも、生徒が英語を好きになってくれた時には、教師をやっていてよかったと思う。戸山生には、もっと視野を広くしていって欲しい」そう語られる染谷先生に、授業中とはまた違った一面をうかがうことができました。 (やふこ)
染谷徹先生 英語 戸山高校在職 1985〜2000