先生列伝(85)橋本先生 戸山高校新聞 第219号 1986年12月4日
 「ちゃきちゃきの江戸ッ子先生
          高校時代は映画に熱中」


1986年卒業アルバム

1989年卒業アルバム

 「えっ、ぼくに?何も面白いことなんかないよ」といきなり言われ、取材に、一抹の不安を覚えながら、今号は英語科の橋本秀夫先生に引き受けて頂くことにしました。

 昭和十四年、浅草にお生まれになって、日暮里でお育ちになった先生は、つまりちゃきちゃきの江戸ッ子。「“ひ”と“し”の区別がつかなくてね。だから今でも『しゃくえん(百円)』だよ」と英語の発音ならぬ東京弁の発音。

 ところで、中学校・高校生の頃の先生はどのようであったかの質問に、意外な答えが返って来ました。「まじめじゃなかったなあ。遅刻、欠席ばっかりで」。何でも先生は、中学・高校とミッション系の学校に通っていらしたそうですが、聖書の講義中、いつも居眠りをしていたとか。勉強の方はというと「英語は初めの頃は出来なくて、赤点を取ったこともあったよ。けど、いい先生に代わってから英語に没頭し出して、出来るようになったね。他の教科はダメだったけど。先生になるきっかけは、英語が得意だったからと言うよりは教育実習が楽しかったから」だそうです。「先生になりたての頃がまた楽しくてね。テニスや麻雀を覚えたのもその頃だったな。他の先生とテニスをやっていて、授業があるのを忘れちゃったりしてね。まったく不真面目な先生だった」。

 さて、そんな先生の若い頃からの趣味は映画。「英語の先生が『映画を観ることも英語の勉強だ』と言うので見始めたんだけど、すぐのめり込んじゃってね。デボラ・カーやゲーリー・クーパーなんて懐かしいなあ」と感慨深げ。最近の女優の中で先生のお気に入りは“クレイマー・クレイマー”でお馴染みのメリル・ストリープで彼女の映画は全てご覧になったそうです。また、美術館巡りも先生の御趣味の一つで、都内に限らず地方の美術館にも足を延ばすとのことです。「最近の展覧会は混んでいて、じっくり作品を鑑賞出来ないね。なんであんなに人をいれるんだろう」というのが先生の正直な感想です。

 最後に一言「やっぱり授業は楽しくなくてはと思って英語を教えている。勉強が好きな人なんて、そんなに多くないからね。それから、ゲーテが言ったように、一つの外国語を知れば、それだけ世界が広がる。英語を習う意義はこれだと思うよ」と語る先生、将来の夢は「ゆったりした心の豊かな生活がしたいなあ。ピアノを習ったりとか…なんて、また不真面目って言われちゃうね」
                           (ベティの恋人)

橋本秀夫先生 英語 戸山高校在職 1981〜93



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