先生列伝(92)菅野先生 戸山高校新聞 第234号 1989年9月22日
 「江戸っ子魂、戸山に健在  ――菅野一雄先生の巻―― 」


1989年卒業アルバム

1986年卒業アルバム

1990年卒業アルバム

 戸山高校を代表される先生の中で、忘れてはならないのが菅野一雄(かんのかずお)先生(国語科)であろう。今回の先生列伝では、その菅野先生の素顔に迫ってみようと思う。
 菅野先生は生まれは墨田区、育ちは葛飾区という生粋の江戸っ子。現在も葛飾区にお住まいになっている。学生時代は「ヒョロヒョロしてて泣き虫だったが、勉強はよくやっていた。また運動能力がなかったので外で遊んだりしないで、本をよく読んでいた」そうだ。また「メンコやベーゴマなど学校が『やっちゃいけない』というと、それをきちんと聞いてやらないような子」でもあったとか。
 中学時代は文芸部(今の文学部)に入部なさり、自作の詩や小説をガリ版で印刷なさったりしていたそうだ。高校時代はどこの部にも所属されなかったが、将来、国文学研究者になりたいという夢はお持ちになっていた。しかし御不幸にもお父さまを早くに亡くされたため、ご自分の夢を断ち切って、教師の道に入られたそうだ。
 この様にして教師という職業を選ばれたわけだが、その道を歩み始めてからは、授業中に多くの参考文献を紹介するように心がけていらっしゃるという。「どうにかしてみんなに本を読ませようと思って勧めるようにしています」また先生の授業では、しばしば英語が飛び交う。例えば聞いたことをすぐに忘れてしまうたとえに「ざる頭」があるが、それを「バスケット・ヘッド」と訳されたことがある。このことを始め、わかりにくい表現を英訳してくれるのである。このように、菅野先生の授業には、様々な魅力が秘められている。 
 ご趣味をお尋ねすると、先生は扇子で顔をあおぎながら、「演劇を見るのが好きだね」と答えて下さった。ジャンルは特に問わず、新劇から歌舞伎まで、幅広く観劇なさるそうだ。そのためか、現在演劇部の顧問をなされている。その他、本もよく読まれるそうだ。好きな作家は多く、最近は井上ひさしとつかこうへいの作品に興味があるとか。
 さてここで十年間戸山の変遷を見てこられた菅野先生に、戸山生について語っていただいた。「戸山生は自負心を強くもちすぎる人が多いように思える。全てわかりきっているような顔をしている人とかね。もうすこし謙虚になってほしいな」
 最後に本校に着任されてから現在に至るまでの、戸山での学校生活の印象をお聞きすると「毎年同じことを繰り返してきたような感じ」だそうだ。長年いらっしゃる先生らしい言葉であった。           (美露)

菅野一雄先生 国語 戸山高校在職 1979〜90



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